空間概念・期待〜ルーチョ・フォンターナとカメオコレクティブ – ROJIZO

空間概念・期待〜ルーチョ・フォンターナとカメオコレクティブ

LAST UPDATE: 2016-12-29 AUTHOR:rojizooffice

Lucio Fontana. Concetto Spaziale, Attese 1968

ルーチョ・フォンターナ(Lucio Fontana, 1899-1968)のシリーズ「空間概念・期待」(Concetto Spaziale, Attese・コンチェット・スパツィアーレ)はキャンバス全面を塗り込め、ナイフで切れ目を入れた20世紀の前衛芸術を代表する芸術作品です。

2017SSシーズンの幕開けのカメオコレクティブの「FORMAT」コレクションは、このルーチョ・フォンタナの空間概念にインスパイアされたものでしょう。

C/MEO COLLECTIVE // ANOTHER WAY TOP

モダンアートを日常に取り入れる

ファッションとモダンアートの融合はイヴ・サンローランの時代にも遡れるもので、ファッション・デザイナーの多くが様々なモダンアートに影響を受けています。

 

CÉLINE SS17 in Paris

 

Yves Klein, Anthropométrie de l’époque bleue, 1960

たとえば今季SS17シーズンのCÉLINEのフィビー・フィロはイヴ・クラインから借用した「クライン・ブルー」と呼ばれる鮮やかな青色のドレスでランウェイを賑わしましたが、イヴ・クラインの作品は現在は美術館などで楽しめますが、私たちが日常的に楽しめるものではありません。

ファッションの世界では、立体芸術・建築・美術・映画などの様々なミクストメディアを一枚の洋服に反映させて、それを普段づかいとして愛玩することが出来るところに特徴があります。

フォンターナの期待するもの

「空間概念・期待」と題された作品群を残したルーチョ・フォンターナはイブ・クラインとも親交があつかった芸術ですが、「期待」(Attese)とは、切れ目がひとつの作品には、ひとつの期待、切れ目が複数の作品には、複数の期待。つまり、この題名にある「期待」とは、この切れ目そのものを指しています。

フォンターナは

画家として、キャンヴァスに穴を穿つ時、私は絵画を制作しようと思っているのではない。私は、それが絵画の閉鎖された空間を越えて無限に拡がるよう、空間をあけ、芸術に新しい次元を生みだし、宇宙に結びつくことを願っている。

と述べています。

いまでは美術の教科書に掲載されているフォンターナもアルゼンチンに生まれ、若いときは商業彫刻家として生計をたてていましたが、その後ミラノにアトリエを構えて、1930年代にようやく抽象芸術家としてのデビューを果たします。しかしその後も大戦やアルゼンチンへの一時帰国などを経て再びミラノに戻ってきて、さまざまな試行錯誤の果てに、キャンバスを切り刻んだり、穴をあけて二次元の絵画の世界を建築や彫刻へと進化させる新しい空間概念へとたどり着きました。

新しい時代、新しいフォーマット

フォンターナの作品はこれまでもAlexandar Wangなどを始めとするファッションの世界にも大きな影響を与えてきました。今回のカメオコレクティブの新作コレクションのカットワークはこれらのファンターナの空間主義から影響をうけたものであることは一目瞭然です。

これはカメオコレクティブのデザイナーのシハムの意図かどうかは分かりませんが、この一連のアイテムには、SS’17の新シーズンの幕開けの「期待」を私たちは読み取ることができます。カメオではこのようなシルキーな素材を使ったアイテムは、SS’16のコレクション「LUCENT」ではじめて登場したものですが、新しい素材感をさらにグレードアップしたSS’17のこのアイテムは、価格帯としても求めやすく、一部のハイブランドのランウェイコレクションのみでしか実現できなかった、アートとファッションの融合を誰にでも使いやすい形で提供してくれるものです。

フォンタナの空間主義にインスピレーションをうけたこれらのアイテムは、新しい年への期待、私たちの新しいスタイルを提供しれくれることは間違いありません。

注:もちろん単に刻まれただけではなくて、ちゃんと縫ってありますのでご心配なく!